着物を長持ちさせる保管方法とは?やってはいけない注意点まで解説
着物はフォーマルな場からカジュアルなシーンまで、さまざまな場面で選ばれています。着物の美しさや高価さから、正しく保管して長持ちさせたいと思う人は多いでしょう。しかし、実際には「これで大丈夫」と思って保管していたものの、後に色あせや型崩れ、虫食いなどのトラブルを発見することも少なくありません。経験したことがある人もいるのではないでしょうか。
この記事では、着物の正しい保管方法からやってはいけない注意点まで詳しく解説していきます。大切な着物が美しい状態で長持ちさせられるよう、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むための時間:3分
着物を長持ちさせる保管方法のポイント
着物は正しく保管していれば、美しさが長持ちし、長期間着用できます。しかし、保管方法を間違ってしまうと、あっという間に着られなくなってしまうことも。着物は絹などの天然素材で作られていることが多いため、虫食いや色あせなどが起こりやすいからです。また、長時間畳んだままで保管すると折ジワや型崩れの原因になります。これらを防ぐために、次の5つを避けましょう。
- 湿気
- 虫
- タンパク質の残留
- ガス
- 紫外線
この5つを避けるための保管方法について詳しく解説していきます。
保管する前のポイント
着物は、他の衣服と同じように保管してはいけません。いくつか気をつけなければいけないポイントがあります。
- 着物の手入れをする
- しわにならないように畳む
- 保管場所の準備をする
保管する前のポイントを知ることで、着物を傷めずによい状態で保管できるでしょう。
着物の手入れをする
着用したばかりの着物は汗やほこりなど、見た目には気づきにくい汚れもあります。そのまま保管してしまうと、汗染みや色あせなどの原因になります。保管する前には必ず着物の手入れをしましょう。具体的には次のように手入れをしてみてください。
- 着物ハンガー(衣紋掛け)に掛けて、汚れがないかチェックする
ハンガーに掛けたら、襟・裾・見頃を中心に汚れていないかよく見ましょう。汚れがあった場合、自分で落とせるものは自分で落としますが、不安な場合は着物専用のクリーニング店や呉服店などに相談するのがおすすめです。 - 汗をたくさんかいた場所がないかチェックする
たくさん汗をかいてしまった場所があれば、水を少し含ませたタオルで叩いておきましょう。あまり多く水を含ませてはいけません。 - しわを伸ばす
干すことである程度のしわは伸ばせます。アイロンを使ってシワを伸ばす方法もありますが、生地が変色するなどの恐れもあります。アイロンを使うのは最終手段にし、使う際には必ずあて布をし、生地の裏側からかけるのが基本です。また、干すときには風通しのよい直射日光の当たらない場所を選び、半日〜1日を目安にしましょう。 - ほこりを落とす
着物用のブラシか柔らかい布を使って優しくほこりを落とします。強くこすらないように注意しましょう。
しわにならないように畳む
着物の手入れが終わったら、しわにならないように気をつけて畳みます。着物を畳むときには「本だたみ」という畳み方が基本です。畳んだ後は「たとう紙」で包みましょう。たとう紙は、着物のしわを防ぐだけでなく、着物から湿気を取り除いてカビを防いだり、ほこりや汚れから守ります。
保管場所の準備をする
着物の保管場所に最適なのは「桐たんす」です。桐たんすが着物の保管に最適な理由は2つです。
- 桐は湿気で伸縮して湿度を一定に保つため、防湿効果がある
- アルカリ性の性質をもつ桐には虫がつきにくいため、防虫効果がある
この2つの理由から、着物の収納には昔から桐たんすが使われることが多いのです。
しかし、桐たんすがない場合もあるでしょう。プラスチックの収納ケースでも保管は可能です。プラスチックのケースを選ぶ場合は、なるべく大きいものを選びましょう。選ぶ目安は、たとう紙に入れた着物が曲がらずに入れられる大きさです。小さいケースに入れてしまうと、形崩れやシワの原因になります。また、プラスチックのケースに保管する場合は、除湿シートを忘れずに入れましょう。
保管する時のポイント
着物の保管は、入れて終わりではありません。長持ちさせるためには次の3点に気をつけましょう。
- 防湿剤を入れる
- 防虫剤を入れる
- 着物を定期的に虫干しする
この3点を丁寧に行なうことで、着物を長持ちさせられるでしょう。
防湿剤を入れる
着物は湿度が高いとカビが生えてしまいます。保管するときは除湿剤を入れましょう。着物の除湿剤もさまざまなものが販売されています。着物に匂いをつけないためには、無香料のものがおすすめです。使用する量は、それぞれの除湿剤の説明をよく見て、適量を使用しましょう。
防虫剤を入れる
防虫剤にもさまざまなものがあります。使われている成分も違うので、保管する着物に合う防虫剤を選びましょう。このとき注意しなければいけないことは、複数の種類の防虫剤を同時に使用しないことです。化学反応によりガスが発生することがあり、生地を傷めたり、変色をしたりする原因となります。また、防虫剤を入れるときには着物に直接触れないように入れましょう。
着物を定期的に虫干しする
虫干しをすることで、湿気を飛ばしてカビを防ぎ、着物についてしまった害虫と取り除くことができます。虫干しをしないと、カビや虫食いなどのトラブルにつながります。
虫干しの時期は、年3回(8月、11月、2月)がよいとされています。着物を一枚ずつ着物ハンガーに掛け、直射日光の当たらない場所で陰干ししましょう。時間帯は空気の乾燥しやすい10時〜15時が最適です。虫干しをした後は、汚れやカビなどがないか確認し、ブラシや布でほこりを落としましょう。再度収納する前に、古いたとう紙を使用していた場合、新しいたとう紙に交換することをおすすめします。
やってはいけない注意点
着物を保管するときにやってはいけないこともあります。着物を傷めてしまう原因なので、次の4点に注意しましょう。
- 購入した着物をそのままの状態で保管する
- 証書を着物と一緒に保管する
- 譲ってもらった着物をそのまま保管する
- 除湿剤、防虫剤をたくさん入れて保管する
これらの保管方法は、カビが生えたり生地が傷んだりする可能性があります。
正しく保管して着物を長持ちさせましょう
着物を長く美しく保つためには、保管方法が大事です。着物を傷める5つの要因「湿気・虫・タンパク質の残留・ガス・紫外線」を避ける方法を紹介しました。保管前の手入れから保管時の注意点、定期的なお手入れ方法まで丁寧に行ない、大切な着物を長持ちさせましょう。
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