古美術の意味や定義とは?骨董品との違いや見極め方も解説
同じ古い物でも「古美術品」という人もいれば「骨董品」と呼ぶ人もいます。古美術品と骨董品はどちらも古い物を指す言葉ですが、違いはあるのでしょうか?今回は古美術の意味や定義、骨董品との違いを解説します。
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古美術の意味や定義
古美術とは、古い作品の中でも美術的鑑賞に重きを置いたものや、美術的価値が高いもののこと。特に価値が高い物は重要文化財などに指定されることもあります。古美術には時代やジャンルなどはっきりとした定義はないため、その物を古美術と取るかどうかは人によって変わることがあります。
古美術のジャンル
一口に古美術と言ってもそのジャンルは多岐に渡ります。その中から主なものを見てみましょう。
茶器
日本で扱われる古美術品の中でも歴史が古いジャンルです。お茶をたしなむ茶道は平安時代の末期に始まったとされ、戦国時代に大名や武将の間で流行を極めました。そして、織田信長が戦いの褒章として茶道具を与えるようになり、価値が一気に高まったのです。現在でも茶器は根強い人気があります。
陶磁器
茶道具以外の陶磁器全般を指し、種類には香炉、茶碗、皿、鉢などがあります。陶磁器も古くから人気がありましたが、バブル期には特に価格が高騰し、高値で取引されていたようです。
工芸品
工芸品とは、卓越した技術により、芸術的意匠を施して制作された工作物のこと。漆器や陶磁器、木工品、染織品などが挙げられます。中でも名人と呼ばれる作家のものや、現代では希少な素材を使ったものは希少価値が高いとされています。
絵画
日本における日本画や油絵の歴史は浅く、古美術品として取り扱われることはあまり多くありません。しかし、西洋では絵画は19世紀絵画というジャンルがあり、西洋アンティークとして人気があります。
骨董品との違いや見分け方とは?
骨董品とは、製造から数十年~百年以上が経過したもののこと。日本では比較的若い作品も骨董として扱われますが、ヨーロッパなどの外国では主に百年以上が経ったものを指します。
骨董品は制作から時間が経ったものであれば、ジャンルに関係なく全ての物が含まれます。骨董品と言えば古い茶碗や壺、掛け軸や絵画を思い浮かべる人は多いと思いますが、他にも例えば昭和時代のおもちゃや古銭、古い家具なども骨董品なのです。また、上記の古美術として扱われるジャンルの作品でも、あまり有名ではない作者のものなどは古美術ではなく骨董品と呼ばれることもあります。
このように、同じ古いものを指す「古美術品」と「骨董品」は似た言葉ですが、違いや見分け方は「美術的な鑑賞・価値」が高いかどうかという点にあります。
古美術が生まれた背景
古美術品と骨董品を分ける線引きは曖昧ですが、これには古美術という言葉が生まれた背景が関係しています。古美術は第二次世界大戦後辺り、外国との関係が良好になり、西洋の美術品が日本に持ち込まれるようになる頃から使われ始めました。
戦争が終わり、だんだん景気が回復してくると、日本人は自由とお金を手に入れました。そして、海外のアンティーク美術品の美しさに魅せられて、どんどんと購入する人が増えたのです。それと同時に、外国人も日本の骨董品に魅了されていき、多くの日本の作品が海外でも愛されるようになりました。
その結果、古いものは全て骨董品としていましたが、中でも芸術的で美しいものは「古美術」と呼ぶようになりました。つまり、古美術は骨董品の一部であるため、はっきりと分けるのは困難なのです。
古美術とは美術的な鑑賞・価値に長けた骨董品のこと
制作から数十年以上が経過した物・作品は骨董品と呼ばれますが、その中でも美術的な鑑賞や価値に長けたものは「古美術品」と呼ばれます。古美術にはきっちりとした定義がなく、骨董品との線引きは曖昧な部分もあります。